バイオ株の株価はどう考えたら良いのか?/ 4563:アンジェス
やってきました、アンジェス。私の今までのバイオ株の経験はタカラバイオとアンジェスしかありません。アンジェスには申し訳ないですけど、タカラバイオは優良企業です。利益も毎年着実に出しています。
逆にアンジェスは怪しさ満点です。会社四季報を読んでいても、こんなに赤字続きで、どうやって企業を存続できているんだろうと不思議に感じます。
ずっと赤字ですね。。。
四半期ベースで見ても赤字ですね。。。
例えば、アンジェスへの投資は、一見金回りの良さそうな、でも何をして食べているのか分からない親戚の叔父さんに投資話を持ちかけられた感じです。怪しいけど、うまいけば一生お金に困らないかも。叔父さんも親戚だからお金をだまし取る事はしないとは思うけど、何か怪しい。。。
今回はこうしたアンジェスと私の関わりと、そこで学んだ事を書きたいと思います。
アンジェスの躍進
しかし、2020/9月現在では、最近のアンジェスは凄い話題になっています。わざわざ調べなくても色々なニュースが耳に入ってきます。
・大阪大学と共同でコロナウイルス向け次世代ワクチンの共同開発
・日本医療研究開発機構(AMED)の公募事業「新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発」に採択される
・新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)を開始
・高血圧DNAワクチンに関する日本での特許を取得したと発表
・新型コロナウイルス(COVID-19)を標的としたDNAワクチン臨床開発」が、国立研究開発法人日本研究開発機構(AMED)の第2次公募に採択される
ニュースネタだけでなく株価もトリッキーな動きをしています。
下図はここ約5年間のアンジェスの株価の推移ですが、間欠泉のように時々吹き上がるのが特徴的です。バイオ株っていうのはこんな感じなんですかね。株価が急に2~3倍になって元に戻る。凄いですね。うまーく売買できれば大儲けなんでしょう!私には無理ですが!神様じゃないと無理!
出来高が10倍以上になるなんて、注目を集めると集めまくっちゃうのがパワフル!バイオ関連の典型なのかもしれません。私がアンジェス株を保有していた2019/4~8月は1,000円なんて株価は夢の夢でしたが、今はもう2,000円台もなかばなんですね。
私とアンジェスとの関わり
私の経験した急騰&急落は下図の赤色破線部です。こうしてみるとその他の期間のボラテリティが大きすぎて誤差範囲ですね。。。さすがバイオ株。
私とアンジェスの出会いはやはりコラテジェンです。コラテジェンは国産初の遺伝子治療薬ということでかなり期待されていました。
そのため、私は4月から7月にかけてアンジェス株を買い拾っていました。平均購入価格は794円でした。日本において保険を適用した診療および薬剤は公定価格が適用される事になります。これは厚生労働大臣に決定権がありますが、実質は厚生労働大臣は中医協総会の意見を求めなくてはいけません。実際の価格は中医協総会で決定されます。コラテジェンは2019/5/22の中医協総会での薬価が決定されませんでした。高い開発費をかけた新薬の価格を出来るだけ高くしたい薬剤メーカーと、価格を抑えたい厚生労働省のせめぎあいの結果だと考えられます。コラテジェンは次回8/28の中医協総会での薬価決定を目指すことになります。
その後、2019/8月中旬くらいからアンジェスの株価は上がり始めました。それまでは700円を切っていた株価が8/27には高値965をつけ、終値は930円でした。「明日、薬価が収載(決定)したらこんな株価じゃすまない。。。1,000円、いや2,000円は行くな。ストップ高が3日連続かな。やばい、今までで1番の爆益銘柄になる。。。これまでずーっと我慢してきて良かったー! 4月からずーっと耐えてきて俺って凄い!凄い凄い。明日どうなっちゃうの?』 正直な話、8/27の夜は私、夢にアンジェス出てきました。ずーっと眠りが浅かったです。おかげで翌朝の体調はあまり良くありませんでした。
翌朝起床した私はまだ早朝だったので、PTS(証券会社の私設夜間取引)をチェックしてみると、「ん?。。。下がってる?なんで?なにかの間違いかも。PTSだし。。。」 そして朝9時、東京証券取引所が開きました!「えっ!?凄い勢いで急落していますが、なんで?なんで?薬価が決まったんですよ。国産初の遺伝子治療薬なんですよーっ!!!」
結局、終値で前日比150円安(▲16.1%)の780円。
ニュースを見てみると、どうやら決定した投与1回あたりの公定価格が60万円というのが想定よりも安かった。。。。その失望売りだそうれす。れす。レス。
予想されているコラテジェンの投薬される患者数が約1000人で販売額が12億円。アンジェスの投資キャッシュフローを見ると12億4900万円です。現金等は100億円くらいあります。コラテジェンだけでなく他の薬も開発中であると考えられますが、販売額が12億円ではがっかりしたという投資家がいてもおかしくはないのでしょう。
翌日も翌々日も下落を続け、結局3日間で▲40%という結果に。。。
930円→780円(▲16.1%)→660円(▲15.4%)→560円(▲15.2%)
8/30に558円ですべて売却しました。
この時は分からなかった事ですが、今回のアンジェスの暴落はコラテジェンの薬価が安かったというだけではなかったと、今現在の私は考えます。
アンジェスの暴落はなぜ起きたのか?
株式相場の世界は期待で変動しています。株価に影響のある情報は、株価に前もって織り込まれていくという事になります。今回のアンジェスの場合、値動きをもっと細かく見ていくと、8月半ばまでほとんど目立った値動きがありません。しかし、8月半ばから株価は上昇を始めています。
2019/5/22の中医協総会でコラテジェンの薬価が収載されずに、次回の8/28では収載されそうだという見方が優勢なのは、アンジェスのニュースを調べている人なら誰でも認識していた事です。8/28の中医協総会まであと2週間というところで株価は急激に上昇し始めます。薬価が収載されるであろうという期待で買われているのです。期待して買っている人が多ければ多いほど株価の上昇というエネルギーが蓄えられます。そして「実際に薬価が収載されました」という事実の発表によってその期待が達成された時にそれまで買っていた人が売りに転じる事で株価は反転する。その蓄えられたエネルギーが大きいほどその後の反動は大きいのです。
株価が収載された。ここが絶好の買い時という考え方もありますが、逆に売り時という事が株式相場では多いと思います。薬価が収載された時には、その期待が既に株価に織り込まれているので、更なる株価上昇という事が難しいのです。
ここで他の人の立場に立ってみましょう。なぜなら、この高値からあなたは新規で買いに入れますか?という事です。新規で買いに入る人より、この高値で利益確定したいという人の方が多いのではないでしょうか?
そうは言っても、薬価が決定され、コラテジェンの収益が大幅な利益拡大につながるといった流れで更なる株価上昇という可能性も十分にあり得ます。例えばコラテジェンの薬価が想定以上の高値だった場合などです。ただ、一旦は好材料の出尽くしというニュースで株価が下がる事も多いです。
今回のような製薬会社の薬価が決定されるといった以外の高材料情報といえば好決算があります。
期待されていた好決算が発表され、前年比+100%、+150%といった好決算でも株価が急落する事は良くあります。この好決算は既に株価の上昇という現象に織り込まれており、好決算が発表されるという期待の達成により、株価が反転し、急落する。株の世界ではあるある過ぎる現象です。
これが株式市場で有名な格言「噂で買って事実で売る」なのです。
今回のコラテジェンの薬価収載のにニュースは、まさに格言通りの現象でした。
でもね、薬価収載されたら株価急騰するって期待しちゃいますよね。急騰してから売ろうって思ってしまうんですよね。。。
今回は私の大儲けだと思ったら大損してしまったという悲しい話でしたが、皆さんの今後の糧になってくれればと思います。 将来必ず、「あった。あった。この現象の事だったのね」 と感じる事があると思います。
今回も最後まで読んで頂いてありがとうございます。
皆さん、株の収支を絶対プラスにしましょう!
※今回、この記事を書くまでずっとコテラジェンって言ってました。正しくはコラテジェンです。英語のつづりを調べていて気付きました。。。
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